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 久居市の獣医師、高橋先生よりご紹介のあったお話


 私は、5月14日の夜、キセキレイの巣立ちびなを持参しご自宅にお伺いさせていただきました嬉野町の久保と申します。
 その節は、大変ご迷惑をかけまして申し訳ございませんでした。突然夜分にお伺いさせていただきましたのにもかかわらず、とても丁寧に御診察いただきましたこと、たいへん感謝いたしております。


 さて、キセキレイのその後でございますが、翌朝早く元の場所に戻しましたところ、親鳥とおぼしきキセキレイが2羽やってきてひなを連れていきました。
 私は当初、まだ飛ぶことの出来ない若い鳥を保護したつもりでおりましたが、高橋先生にお目にかかりましてお話をお伺いさせていただくうちに、とてもかわいそうなことをしてしまったと悔やんでおりました。
 もし、私が連れて帰ってしまったことで、ひなが家族から見捨てられて見向きもされなかったらどうしようかと心配だったのです。

 自宅に戻って、教えていただいたキセキレイの名前を元に、ほんのすこしばかり調べてみましたら、えさは穀物ではなく虫だと知り、ますます親元から引き離してしまったことを後悔しておりました。

  しかし、昨日私が自宅に連れて帰ってからおよそ12時間、飲まず食わずの状態にもかかわらずひなは元気な様子で、元の場所に戻してから30分くらいは身動きもせずじっとしていましたが、突然親鳥の気配を聞きつけたのかチィチィと一生懸命鳴き始め、それでも足りないと思ったのか道路に飛び出していきました。ちょうど牛乳配達のバイク等が行き交う時間帯でしたので『あっ!』と思ったのですが、もうあや私が何もしてはいけないと自分に言い聞かせじっと窓から見ておりました。

 するとどこからともなく、ひなと同じからだの色をした2羽の鳥が飛んできてひなに近寄り、まるで言葉を交わすかのごとくお互いに鳴いています。そしてゆっくり飛び立ってはひなの近くまで戻ってくる動作をし、ひなもまた羽を広げては2羽の行く方向に移動を繰り返し、やがて私の視界から消えていきました。

 見渡せば、ツバメやすずめも忙しそうにあちこちを飛び交っています。皆、えさを求め、子育てをし、忙しいのでしょう。
『人間と同じだわ・・・・・・・・・』ふとそんなことを思いながらカーテンを閉めました。

 余談ですが、私には小学校5年生と2年生になる息子がおり、キセキレイのひながよほどかわいかったのか、本音は自宅で飼いたかったのでしょう。逃がしたことを知ると上の息子は少しの間泣いていましたが(本当は一緒に見届けたくて何度も声をかけて起こしたのですが、昨夜は始めて身近に見るきれいなキセキレイのひなに、遅くまですっかり興奮状態でしたので起きられなかったようです)、迷子になったひなを捜して親鳥がどれほど心配しただろうかということにようやく思いがいくと『大きくなって親になってまた僕の家に来てほしいな・・・・・・・・・』と言いながら空を見上げておりました。

 私も、あのひなが(わずか半日ではありましたが、観察しているうちになんと賢い鳥なんだろうと驚くと同時に愛おしくてなりませんでした)たくましく育ち、やがて子供をもうけ、そして力強く生を全うしてほしい、そう願わずにいられませんでした。

 高橋先生にお教えいただいたおかげで、親子共々本当にいい勉強をさせていただきました。むやみに野鳥を人間が飼ってはいけないことも知ることが出来ました。本当にありがとうございました。

                平成14年5月15日